「 Microsoft Build 2023 」では、開発者向けの新しいツールや機能、Microsoftのクラウドコンピューティングプラットフォーム「Azure」のアップデートなど、数多くの発表が行われました。その中での最大の発表の1つは、開発者のコード作成を支援するAI を活用した新しいツールであるWindows Copilotの提供のスタートでした。Windows Copilotは、コード補完を提案したり、潜在的なエラーを特定したり、関数全体を生成したりできます。そのほかにも新しい製品やサービス、開発者ツールなどに、AIを使ったアップデートを発表しました。

Windows 11にAIの力を導入

Windows 11向けには2つの新しいAI機能を発表しました。Windows CopilotとDev Homeです。Windows Copilotは人工知能と機械学習を活用しており、ユーザーの行動から学習して、よりパーソナライズされた支援を提供できます。 例えば、ユーザーが文書を作成している場合、Windows Copilotは単語やフレーズを提案したり、完全な文を提案したりできます。 また、ヒントを提供することで、ユーザーはコンピュータの操作がしやすくなります。

Dev Homeは、アプリケーションの作成とテストに役立つさまざまなツールとリソースを提供する開発者向けの新しい環境です。Dev Homeには、事前に構成された開発環境、一般的な開発ツールのコレクション、さまざまなドキュメントとチュートリアルが含まれています。

Windows CopilotとDev Homeはどちらも、Windows Insider向けのプレビュー ビルドとして現在入手可能です。 2023年後半には一般公開される予定です。

Webサイト構築の手間を軽減するAIツールを発表

Web構築向けにCopilot in Power Pagesと呼ばれるAI ツールをリリースしました。これは、ユーザーがコーディングの知識がなくてもWebサイトを作成できるように設計されています。Copilot in Power Pagesは、テキスト、フォーム、チャットボット、Webページ レイアウトを生成できるほか、画像やサイトのデザイン、テーマを作成および編集できます。

Copilot in Power Pagesを使用するには、ユーザーは、Webサイトの目的、対象読者、希望のスタイルなど、Webサイトに関する基本的な詳細をいくつか入力するだけで済みます。Copilotは、ユーザーが選択できるさまざまなオプションを生成します。

Copilot in Power Pagesはまだプレビュー段階ですが、企業の規模を問わずWebサイトの作成がはるかに簡単かつ迅速になる可能性があります。

開発者向けAIツール

Microsoftは、開発者向けに次のような多数の新しいAIツールとサービスを発表しました。

  • Azure AI Content Safety:企業がより安全なオンライン環境とコミュニティーを構築できる新しいサービスです。Azure AI Content Safetyは、Azure AI製品プラットフォームを通じて利用できます。 ソーシャルメディア、フォーラム、チャットルームなど、さまざまなオンライン プラットフォームでコンテンツを管理するために使用できます。 このツールはまだプレビュー段階ですが、Microsoftによれば、既にFacebook、Twitter、YouTubeを含む多くの顧客によって使われているそうです。
  • Azure Machine Learning:開発者がAI モデルをより迅速かつ簡単に構築・デプロイできるようにする新しいツールです。 また、機械学習モデルの構築、デプロイ、管理にも役立ちます。 データの準備からモデルの評価まで、機械学習プロセスのあらゆるステップを支援するさまざまなツールとリソースが提供されます。
  • Microsoft Fabric:開発者が大量のデータを理解するのに役立つ新しいデータ分析プラットフォームです。データの移動、データレイク、データエンジニアリング、データ統合、データサイエンス、リアルタイム分析、ビジネスインテリジェンスのための統合プラットフォームを提供します。Microsoft Fabricは、使いやすく、スケーラブルで、安全であるように設計されています。

これらの新しいツールとサービスは、開発者がより優れた、よりインテリジェントなアプリケーションを構築できるように設計されています。 また、スキルを問わず開発者がAIをより利用しやすくなるというMicrosoftの取り組みも示しています。

Microsoft StoreでAIアプリを受け入れ

Microsoftは、Windows Microsoft StoreでAIアプリを受け入れると発表しました。つまりサードパーティーの開発者がAIを使うアプリを作って公開でき、ユーザーがそうしたアプリを見つけてダウンロードできるようになります。

Microsoft EdgeにAI機能を組み込む

Microsoftは、今日のデジタル世界でユーザーを支援するためにブラウザができること、すべきことの基準を引き上げています。AIを組み込んだ新しいMicrosoft Edge は強力なAI機能だけでなく企業や開発者の生産性と安全性を高める設計が施されています。

例えばEdgeはパスワードを自動的に保存し、フォームに入力し、Webサイトを翻訳できます。Edgeには、企業をサイバー攻撃から保護するセキュリティー機能も多数用意されています。

このほかに開発者向けに、EdgeはWebアプリケーションの構築とテストを容易にする多くの機能を揃えています。 例えば、Edgeには、開発者がコード内のエラーを見つけて修正するのに役立つデバッガーが組み込まれており、またさまざまなデバイスやブラウザでWebアプリケーションをテストするのに役立つツールも多数用意されています。