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明治大学教授、AI+味覚メディア技術でイグ・ノーベル賞
Generatived
2023年9月15日
明治大学(東京)の宮下芳明教授と東京大学の中村裕美特任准教授(受賞対象論文の発表時は明治大学大学院博士前期課程に在学)が、イグ・ノーベル賞(栄養学)を受賞した。イグ・ノーベル賞は、ノーベル賞のパロディーとして「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に対して贈られるものだ。科学ユーモア雑誌「Annals of Improbable Research」の編集者マーク・エイブラハムズ氏が1991年に創設し運営している。ノーベル賞と同じく複数の部門があり、毎年5000以上の研究や業績の中から選考される。イグ・ノーベル賞を手渡すプレゼンターは、ノーベル賞受賞者が行っている。授賞式は2023年9月14日18時(アメリカ東部時間)にオンラインで行われ、1996年にノーベル生理学・医学賞を受賞したピーター・ドハーティー氏によって授与された。今回のイグ・ノーベル賞(栄養学)の受賞は、宮下芳明教授と当時明治大学大学院博士前期課程に所属していた中村裕美特任准教授が2011年に発表した論文「Augmented Gustation using Electricity」に対するものだ。この論文は、微弱な電流を流すストロー・箸・フォークによって飲食物の味を変えて食体験の味覚を拡張するビジョンを掲げたものだった。この論文は、2021年にも、発表後10年間、多く引用され広くインパクトを与えた論文に与えられる「Lasting Impact Award」をAugmented Humans 2021で受賞している。宮下芳明教授はその後、味覚メディア技術の研究を推進してきた。まず、キリンホールディングスとの共同研究として、減塩食の味わいを増強させる電気刺激波形を開発した。さらに、実際に減塩の食生活を行っている方を対象に臨床試験を実施した結果、減塩食を食べた際に感じる塩味が1.5倍程度に増強される効果を確認し、この技術を搭載した「エレキソルト」デバイスが、キリンホールディングスから発売される予定だ。宮下芳明教授は今回受賞対象となった「電気味覚」以外にも、味覚センサーの測定値に基づいて任意の味を再現する味覚ディスプレーTTTVなど、多くの味覚メディア技術を開発している。「白ワインを赤ワインの味に変える」「カカオを異なる産地の(より高級な)味を変える」「毒キノコの味を安全に体験できるようにする」「甲殻アレルギーでも安全にカニの味を味わえるようにする」など、味覚の常識を塗り替える研究成果を多く発信しており、TTTV3ではChatGPTに代表されるLLMと連携することにより、料理名をマイクで話したり、料理の画像をウェブカメラで見せたりすると、味を推定して出力することも可能になった。10月末に開催される国際学会では、「口臭を起こさずにニンニクを味わう方法」を発表する予定だ。
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